支払の実際
■支払の実際
 支払計算の機能がどのように働くのか、ここでは掛仕入の伝票から支払伝票が作成されるまでを実際の伝票を使って説明します。

支払計算の対象となる期間
  基本的には1ヶ月です。 下図のように、前月の締め後から当月締め日までの掛仕入伝票が対象となります。

 締め日と支払月1から支払月3までは、基本情報で設定します。 支払いが仕入日1から3までの3つに分けてあるのは、仕入先ごとに支払日を変える必要があるユーザー向けの対応です。 TOP画面の自動振替から「支払」をクリックすると仕訳一覧画面の左上に「支払日①」から「支払日③」までのボタンが並んでいます。 「支払日①」ボタンをクリックすると、基本情報の支払月1とその支払日の設定と同じ仕入先の名称が一覧表示されます。
■仕訳の実際 ケース1
工事に関係のない仕入先の場合
・基本情報の設定
支払計算 支払締日 支払月1 日付
する 31日(月末) 翌月 10日
・科目属性の設定
属性 科目名 対応科目コード 対応科目名
支払 未払金 1589 未払金
支払 現金 1010-01 当座預金
○○銀行A支店
・仕入先マスター、A事務用品店の場合
支払率 100%
現金支払率 100%
端数値引 設定なし
支払日(一般) 支払日1
会員区分 非会員
振込手数料区分 仕入先負担
引落銀行No1 (○○銀行A支店、対応科目名 当座預金 ○○銀行A支店)
振込銀行名称 ××銀行△支店 口座番号 123456789
上記のような設定でE建会計プログラムが動いているとします。
A事務用品店から来た請求書を元に、2月28日に下のような掛仕入伝票を起票しました。
 支払計算をおこなう時期(平成14年3月11日になります)が来たら、TOP画面の自動振替にある支払計算をクリックします。掛仕入の伝票がある仕入先が一覧表で表示されますので、A事務用品店を選んでダブルクリックします。
 支払処理ダイヤログが表示されます。A事務用品店は工事には関係しない仕入先ですので、「合計」タブをクリックし、内容を確認します。 差引支払金額は、未払金の63,000円 支払値引は、仕入先マスターの端数値引の設定が「無し」となっていますのでありません。 手形支払額は、仕入先マスターで現金支払率100%となっていますのでありません。 振込み銀行は、仕入先マスターに記入されているA事務用品店の受取用金融機関の口座名です。 振込手数料は、仕入先マスターに記入されている振込方法で決まっていますので、引落銀行テーブルに登録されている手数料から自動計算します。 振込み金額は、差引支払金額から振込み手数料を差し引いた金額となっています。 以上で間違いがありませんので、自動振替ボタンをクリックすると、A事務用品店の掛仕入伝票を対象に支払伝票を自動作成します。 A事務用品店の2月28日分の伝票は下のような支払伝票となります。
※支払計算では振込手数料引落の仕訳伝票は起票しませんので、ご注意ください。
■仕訳の実際 ケース2
工事に関係した仕入先の場合
・ 基本情報の設定
支払計算 支払締日 支払月1 日付 保留金解除方法
する 31日(月末) 翌月 10日 翌月自動
・科目属性の設定
属性 科目名 対応科目コード 対応科目名
支払 工事未払金 1590 工事未払金
支払 現金 1010-01 当座預金○○銀行A支店
支払 手形 1300 支払手形
支払 安全協力会費 1630 預り金
支払 端数値引 1632 雑収入
・仕入先マスター B建設資材店の場合
支払率 80%
現金支払率 30%
手形支払率 70%
支払日(外注) 支払日1
会員区分 会員
安全協力会費区分 負担する
安全協力会費率 5(5/1000)
端数値引 100円単位
振込手数料区分 仕入先負担
引落銀行No 1 (○○銀行A支店、対応科目名 当座預金 ○○銀行A支店)
手形端数処理 設定無し
上記のような設定でE建会計プログラムが動いているとします。

 B建設資材店から来た請求書を元に、2月28日に下のような掛仕入伝票を起票しました。 「△△邸新築工事」で内装工事のための内装材を500,000円仕入れた分の請求書です。 ただ、この請求書は注文契約書にもとづいたものではなく、注文契約外の請求分ですので、掛仕入伝票の「注文No」が空欄となっています。

 注文契約書が作られていると、そこに記載されている出来高率(支払率)、現金支払比率、手形支払比率を使用しますが、注文契約書がありませんのでB建設資材店の仕入先マスターを使用します。 B建設資材店は、仕入先マスターの支払率が80%となっています。また、安全協力会の会員で会費率が5(5/1000)となっています。端数値引(支払値引)は100円単位となっています。 支払計算をおこなうには、TOP画面の自動振替にある支払計算をクリックします。掛仕入の伝票がある仕入先が一覧表で表示されますので、B建設資材店を選んでクリックすると支払処理ダイヤログが表示されます。 「査定」タブをクリックすると詳細画面が表示されます。
 工事未払金伝票の支払金額525,000円を支払率80%で乗して、今回支払額が420,000円となり、今回自動保留額として105,000円が計上されています。 上図で、今回支払額と特別保留額、特別解除額の項目はユーザーが変更することもできるようになっています。 この詳細画面で最終的に決まるのは「今回支払決定額」です。 次に、「支払」タブをクリックして詳細画面を表示します。
 この画面では、安全協力会費や立替金、その他相殺、現金、手形金額などを決めます。 今回支払決定額420,000円に対して、B建設資材店の協力会費率5(5/1000)から協力会費2,100円が計上されています。 今回支払決定額から協力会費を差し引いた金額が差引き支払金額です。協力会費を変更したい場合は協力会費(手)の項目へ金額を入力します。 差引き支払金額を現金支払率と手形支払率で計算したのが、現金(自)125,370円と手形(自)292,530円です。手形(自)については、仕入先マスターの手形端数処理に、処理単位「1円、10円、百円、千円、1万円、10万円」のいずれかが設定してあれば、その単位で手形金額を自動計算し、手形(自)に計上されます。 それぞれ下段にユーザーが金額を変更するための項目が設けられていますので、これらの金額も修正が可能となっています。 手形金額が決定したら、「手形」タブをクリックします。
 手形金額には、300,000円が表示されます。手形種別では「1:支払手形」と「2:受取手形」のいずれかが選択できます。 「2:受取手形」は、他社から受け取った受取手形を支払に回したい時に使用します。 注意事項 受取手形を未払金などの支払に回す時(裏書手形)を参照 この画面では手形の分割もできるようにしてあります。手形印紙代の節約のために額面6万円(印紙が不要)の手形を5枚作成したとすると、支払計算で作成される支払伝票にもその通りに反映されます。したがって、手形種別と手形番号、決済銀行、手形満期日は必須の入力項目になります。 ただ、手形印紙代は支払伝票には記載されません。手形印紙代(科目としては一般的には租税公課)も工事原価として振替える必要があるユーザーは、この詳細画面から伝票を起票して下さい。 最後に「合計」タブをクリックして、これまでの設定を確認します。
「査定」、「支払」、「手形」タブで確認あるいは入力した結果を表示します。
伝票の工事未払金の金額 525,000円
出来高支払額(支払率80%) 420,000円
保留金 105,000円
協力会費 2,100円
現金支払額 117,900円
手形支払額 300,000円
端数値引額 900円
振込手数料(仕入先負担) 735円
振込金額 116,265円
 この画面で支払値引900円が計上されていますが、これはB建設資材店の仕入先マスターに端数値引として「100円単位」の設定がされているためです。端数値引は差引き支払金額を対象として、その端数(この場合は900円)を計算し計上します。 以上を確認した上で、自動振替ボタンをクリックすると支払伝票を自動作成します。 B建設資材店の2月28日分の伝票は下のような3月11日の支払伝票となります。
 貸方科目の「当座預金 ○○銀行A支店」は、B建設資材店の仕入先マスターにある引落銀行Noに登録されている科目を使用します。(もし、仕入先マスターの「引落銀行No」に何も設定されていなければ科目属性を使用します) 支払手形は、手形タブで登録した勘定科目名と手形番号、銀行名、満期日を使用します。 安全協力会費は、科目属性に設定した勘定科目名を使用します。(例では預り金科目) 端数値引は、科目属性に設定した勘定科目名を使用します。(例では雑収入科目) 振込手数料は、科目属性に設定した勘定科目名を使用します。ケース1と同様に後ほど逆仕訳の伝票を作ることを忘れないでください。 上記の支払伝票で、B建設資材店の工事未払金525,000円のうち、保留金額105,000円を除いた分が支払金額となります。

 翌月の支払計算では 未払として残った保留金は、基本情報の保留金解除方法が「翌月自動」となっているため翌月の支払計算で支払伝票として作成されます。 翌月の支払計算では、B建設資材店の支払処理ダイヤログは下のようになります。(説明のため便宜上、B建設資材店の新たな掛仕入伝票が無かったことにします)

 「査定」タブをクリックすると詳細画面が表示されます。今回伝票査定は0円で、前月の保留金105,000円が今回自動解除額に記入されています。したがって、今回支払決定額も105,000円となります。 続いて「支払」タブをクリックして詳細画面を表示します。
 今回支払決定額105,000円に対して、協力会費率5から協力会費(自)525円が計上されていますが協力会費(手)で500円に修正しています。今回支払決定額から協力会費(手)を差し引いた金額が差引き支払金額です。 この差引き支払金額を仕入先マスターの現金支払率と手形支払率で計算し、現金(自)31,350円と手形(自)73,150円が計算されていますが、それぞれ下段のユーザー入力項目で、現金(手)が34,500円、手形(手)が70,000円と修正しました。 仕入先マスターにある現金最低条件(総支払)は、今回支払決定額が入力されている金額より小さかったら現金と手形の分割はおこなわず、すべて現金として計算するための設定です。 例えば、仕入先マスターの現金最低条件(総支払)が200,000円となっていたら、上の図は今回支払決定額が105,000円ですので、現金(自)には104,500円が計上され手形(自)は0円と表示されます。 B建設資材店の仕入先マスターには、現金最低条件(総支払)の設定はありませんので、上図の通りに手形金額が確定します。 次に、「手形」タブをクリックして詳細画面を表示します。
 手形金額70,000円で手形種別や手形番号、決済銀行、手形満期などを入力します。 最後に「合計」タブをクリックします。
 差引支払額34,500円から端数値引処理で500円が支払値引として差し引かれて、現金支払金額34,000円、手形支払金額70,000円となっています。 現金支払金額は口座から振込の設定で、振込手数料は仕入先負担となっていますので、手数料525円を引いた33,475円が振込み金額となります。 自動振替ボタンをクリックすると、下のような支払伝票が作られます。
 上図の支払伝票で、B建設資材店の掛仕入である工事未払金525,000円がすべて支払われたことになります。

・立替金がある場合
支払計算では立替の伝票も対象となりますが、仕訳伝票を起票する際に注意していただくことがあります。 下のように、A社に掛仕入伝票を起票したとします。

仕入先 借方科目 金額 貸方科目 金額 概要
A社 未成材料費 800,000 工事未払金 800,000 A社の工事代金
B社に支払をしますが、この金額はA社の立替分です。
B社 立替金 500,000 支払手形 500,000 B社の立替金
A社の工事未払金をB社への立替金と相殺します。
A社 工事未払金 300,000   立替金 300,000 立替金相殺
このような仕訳伝票は会計上何ら問題ありませんが、B社へは支払伝票を起票していますので、支払計算の対象から外れてしまいます。 立替金や相殺金がある伝票も含めて支払計算の対象としたいときには、下記のような伝票を起票して下さい。 A社の掛仕入伝票を起票します。
A社 未成材料費 800,000   工事未払金 800,000 A社の工事代金
上では、B社へ支払手形で直接支払を起こしていますが、一旦未払金(工事未払金)にします。
B社 立替金 500,000   支払手形 500,000 A社の立替金
A社の工事未払金をB社への立替金と相殺します。
A社 工事未払金 500,000   立替金 500,000 立替金相殺
このようにすると、支払計算はA社とB社の支払伝票を作成します。 A社分はこのようになります。(注 金額と貸方科目は仕入先マスターの設定により変化)
A社 工事未払金 300,000   現金 300,000  
B社分はこのようになります (注 貸方科目は仕入先マスターの設定により変化)
B社 工事未払金 500,000   現金 500,000  
 支払計算とは、基本情報の締め日と支払月1から支払月3までの設定にしたがって、掛仕入れに相当する伝票から自動的に支払の伝票をシステムが作る機能です。 支払計算の機能を使用されるのであれば、現金などで直接支払うもの以外は未払金科目と工事未払金科目を使った掛仕入伝票を起票するようにしてください。
■保留金の処理
 工事に関係する仕入先は、一般的に保留金が発生するケースが多いと思われます。E建会計プログラムの支払計算の機能を使うと保留金の計算を自動でおこないます。支払計算で利用する保留金に関する項目は、基本情報と仕入先マスターです。 基本情報にある「保留金解除方法」は、支払いを保留した未払金を翌月に支払対象とする「翌月自動」と、注文契約書にもとづいて仕入先から請求される未払金伝票の総額と注文契約書の契約金額が同額となった時点で支払対象とする「満額自動」の設定の項目です。 仕入先マスターには仕入先ごとに保留金の額(支払金額に対する保留金の割合)を設定する「支払率」があります。 支払計算では、この2つの設定を使って保留金の計算をします。
■保留金を発生させない方法
 保留金を発生させないためには、仕入先マスターの「支払率」を100%と設定してください。基本情報の「保留金解除方法」が「翌月自動」か「満額自動」のいずれかに設定してあろうとも、仕入先マスターの「支払率」が100%となっていると保留金計算はおこないません。
■受取手形を未払金などの支払に回す時(裏書手形)
 所持している手形を裏書して仕入代金の支払などに使用した場合、その手形が支払人によって満期日に支払われなかったときは、裏書人が償還請求を受け、代金を支払わなければなりません。このように裏書譲渡した時点では、まだ確定した債務ではありませんが、将来、裏書譲渡した手形が不渡りとなって確定した債務となるおそれのある事柄を偶発債務と言います。 したがって、受取手形を未払金などの支払に回す時には、一般的には下のように裏書手形という勘定科目名を使った仕訳をおこないます。
■仕訳例
(借方) 未払金 ○○○ (貸方)裏書手形 ○○○
・満期日に支払いが確定した
(借方)裏書手形 ○○○ (貸方)受取手形 ○○○
E建会計プログラムでの支払計算では、上記のような偶発債務の処理まではおこないません。
手形種別で「2:受取手形」を選択した場合は、下記のように単純な仕訳となります。
(借方) 未払金 ○○○ (貸方) 受取手形 ○○○
したがって、裏書譲渡した受取手形が不渡りとなった場合は、貸倒引当など偶発債務の伝票処理をおこなってください。